サードワークプレースの種類

By hagi, 28 11月, 2017

サービスドオフィス(サービスオフィス)

サービスドオフィスとは、施設管理会社(オフィスサービス提供者)が自ら家具等の設備を整備し管理を行って利用企業にオフィスを賃貸する形態のオフィスである。不動産オーナーと利用企業の契約を仲介するだけではなく、何らかの施設管理サービスが付加されている。家具付きであったり、入館管理サービス、共用会議室、空調等の付加価値サービスが付与されているケースがある。

国内ではしばしばシェアオフィス、シェアードオフィスと呼ばれていることが多い。実質的な意味は変わらない。ただし、言葉の意味から考えると、シェアオフィスは複数の企業が同じ不動産物件を一部を占有し一部を供用するという語感があり、供用部分の調整は利用者間で行うという印象を与える。一方、サービスドオフィスでは、他の利用者とは関係なく、オフィスサービス提供者からサービスを受けるという印象となる。供用部分の調整については、施設管理会社の責任であって、利用者間の調整事項ではない。例えば、供用会議室の後片付けをどのレベルでやるかといった取り決めは、前者は利用者間で調整して問題となった場合はオフィスサービス提供者が調整に乗り出すというモデルで、後者ではどの利用者もオフィスサービス提供者が設定する共通ルールに従い、不具合があればその調整はオフィスサービス提供者に苦情を申し立てる形で解決するモデルとなる。供用に関して何らかの協議が必要になった場合は、最終的にはオフィスサービス提供会社が調整しなくてはならない事を考えると、定義としてはサービスドオフィスという言葉を利用する方が合理性がある。

ちなみに、国内ではサービスオフィス協同組合(Serviced Office Association)という団体が存在している。

 

供用設備に基づくサービスドオフィスの形態

 

サービスドオフィスの一般的な共用サービスには受付、住所提供、空調、電源、ネットワーク(LAN/Wifi)環境、インターネットアクセス、複合機などがある。

サービスドオフィスの差別化の中で、例えば3Dプリンター等を供用設備する形態のサービスドオフィスをメーカースペースとかハッカースペースと呼ぶ事がある。

利用形態からサービスの差別化を指向するオフィスサービス提供者もあり、会員企業の出張や移動の多い従業員に注目して複数の都市やロケーションで立ち寄り利用ができる形態はビジネスセンターと呼ばれる事もある。

ターゲット顧客に注目してサービスの差別化を指向するサービス提供者もある。例えば、小規模ベンチャー企業に経理サービスや法務サービス等を提供するケースがあり、アクセラレーターと呼ばれる事がある。また、大学等が技術供与を行ってベンチャー企業を育成する形態をインキュベーターと呼ぶこともある。

サービスドオフィスで行われる活動の成果に着目して差別化を指向するサービス提供者もある。自治体が社会問題を解決する事を意図して支援するケースではフューチャーセンターと呼ぶことがある。

運営形態に注目して、差別化するサービス提供者もある。特に特徴的なのは、以下に詳述するコワーキングスペースである。

 

コワーキングスペース

 

コワーキングスペースについては、様々な意見があるが、The Coworking Handbookの解釈を拡大して、以下のように定義するのが適切だろう。

1.サービスドオフィスであること

2.ファシリテーターがいること

3.コワーカーのコミュニティが存在すること

コワーキングスペースが他のサービスドオフィスと大きく異なるのは、サービス提供者が物理的なオフィスサービスを提供、それに加えて何らかのソフトサービスを提供するところに留まらず、利用者が相互に影響を与え合って新たな「何か」を産むことを意図している点にある。

コワーキング以外のモデルにおいては、サービスドオフィスの利用者はサービスを受ける顧客の立場にある。コワーキングスペースは、サービスを受ける顧客の立場であると同時に、コワーカー=同じサードワークプレースを共用している一人一人に対して、相互に助け合う責任を持たせている。一種の互助会を形成することになるため、オープンイノベーションを産む可能性もあれば、トラブルを起こすリスクもある。

The Coworking Handbookの著者Ramon Suarez氏が「ファシリテーターがいること」を挙げたのは、相互に助け合う関係性を確立・維持していくためには、訓練されたファシリテーターが不可欠であると主張しているのと同じだと考えて良いだろう。

 

 

その他のサードワークプレース

 

カフェ、ビジネスラウンジ、公共スペース、図書館、自社他事業所